有力候補はどこ!?カジノ法案と誘致のゆくえ

カジノ法案とも呼ばれている統合型リゾート整備推進法案(IR法案)が成立したのは、2018年7月でした。
早ければ2019年にも候補地が選定され、2020年に着工する予定でしたが、新型コロナ対策によって候補地の公務が増大したことから不透明な情勢になりました。
そこで政府は、誘致を目指す自治体からの整備計画の受付を2021年10月1日から2020年4月28日に延期、誘致自治体の負担の軽減を目指しています。

カジノ施設の候補地

候補地としては大阪市と長崎市と和歌山市、また横浜市と東京都、名古屋市や常滑市などがあります。
中でも大阪市は2025年に開催される大阪国際博覧会(大阪万博)を目標に計画を進めており、全候補地の中でも最も積極的な姿勢で知られています。

候補地に求められるのは、自治体と経済界による密接な連携です。
カジノ法案というと「カジノがメイン」というイメージを持たれがちですが、実際には「カジノも楽しめる」統合型リゾートであり、ホテルなどの宿泊施設や娯楽施設に加えて巨大ショッピングモールなどを整備するため、3ヶ所で最大3兆円もの費用がかかると考えられています。
費用面に加えて候補地の中にはカジノ反対の声もあるため、政治と経済界の一致協力が欠かせません。
いわば政治的なハードルと経済・計画面での裏付けのいずれが欠けても、誘致することはできないのです。

最有力と目されている大阪市

数ある候補地の中で最有力と目されているのが、大阪市です。
IR誘致に関しては大阪府と大阪市の議会が誘致で一致しているため、反対の声の大きい東京や横浜よりも先んじています。
また計画も順調に進んでおり「大阪IR基本構想(案)」として公表されました。
それによると歴史建造物や施設の多い関西のゲートウェイとしての特徴を最大限に活用することを目指しており、気になるギャンブル対策や治安・風俗対策なども加えるなど、本気の姿勢が伺えます。

また巨額の費用と運営ノウハウを求められる計画面に関しても強みがあります。
リース業や不動産、金融サービスなどで知られるオリックスグループとアメリカのIR大手MGMリゾーツ・インターナショナルが共同で参入を目指しており、早ければ2021年夏にも計画書が提出される予定です。
MGMは大阪市のIRに参入する唯一の事業者であり、コロナ渦によって不透明さを増す中、大阪市にとって光明といって良いでしょう。
懸念される投資額に関してはも規模を縮小して事業を開始、その後必要に応じて拡大するといった柔軟な姿勢も必要と指摘されています。
このように大阪市の場合は府市と事業者が一体となった誘致活動をしているため、最も有力な候補とみなされています。

この他にも東京と横浜が有力候補

この他にも東京と横浜が有力候補です。
いずれも首都圏3500万人もの巨大市場を抱えるため、事業運営ノウハウを持つ海外事業者にとって最も魅力的な候補地でもありますが、課題となるのが反対派の存在です。
中でも横浜市は林文子市長を中心に計画を進めているため、2021年8月に予定されている市長選挙で落選した場合は、計画そのものが中止される可能性もあります。
市長選では、IR誘致そのものが争点になるため注目を集めることでしょう。

さらに小池知事のいる東京も無視できません。
2020年の知事選で再選を果たした小池知事は選挙を気にしなくて良いため、IR誘致の決定もできます。
そうなると大阪市に匹敵する有力候補となるのは間違いありませんが、都知事選では「メリット、デメリットの両面があり、総合的に検討する」との発言にとどめるなど、IR誘致に対する姿勢をはっきりさせませんでした。
言うまでもなく反対派の声に配慮した結果ではありますが、今の所誘致への姿勢もよくわかりません。
IR誘致に関しては政治的なハードルもなく誘致運動の先頭立つ大阪はほぼ確実ですが、横浜と東京はまず誘致の有無を決定しなければならないようです。